1. COBOL(Common Business Oriented Language)の基本的な概要
1.1 COBOLの定義と特性
COBOLは、Common Business Oriented Languageの略で、ビジネス分野を対象に設計された古典的なプログラミング言語です。銀行、保険会社、政府など、重要なデータ処理を必要とする分野で主に使われています。
COBOLの特性として、読みやすさが挙げられます。その名の通り、COBOLはビジネス指向の言語であるため、人間が理解しやすい形でコードを書くことができます。これは、非技術者や新たにプロジェクトに参加する開発者がプログラムを理解する上で非常に有効です。
また、COBOLは堅牢性も持ち合わせています。大量のデータを扱うビジネスアプリケーションに必要な信頼性と安定性を提供する能力があります。この堅牢性がCOBOLが長年にわたりビジネスシーンで使い続けられている理由の一つとなっています。
1.2 COBOL開発の歴史
COBOLは1950年代末に開発されました。当時、統一されたビジネスデータ処理のための言語が求められ、それに応える形で誕生したのがCOBOLです。
プログラミング言語としてのCOBOLは、自然言語に近い構文が特徴で、その開発は非プログラマでも解読、修正が可能な言語として設計されました。そのため、COBOLのコードは他の多くのプログラミング言語に比べて読みやすいという特性を持っています。
COBOLはその後、頻繁に更新され続け、新たな特性や機能が追加されました。しかし、その核となる部分は、ビジネスデータ処理のための信頼性と読みやすさを重視した設計が今もなお維持されています。
1.3 COBOLがよく使用される領域
COBOLは金融機関、公的な機関、保険会社など、架橋的なデータ処理が必要な企業で多く使用されています。これらの組織では、COBOLがもたらす堅牢性と可読性が求められるためです。
また、長年にわたり現場で使用され続けているプログラミング言語であるため、既存のシステムとの互換性を保つためにも必要とされています。これらの既存システムを新しい言語に書き換えることは莫大なコストと時間を要するため、COBOLはこれら既存のシステムのメンテナンスや更新においても重要な役割を果たしています。
このように、特に大規模な業務処理を行う分野で必要とされる堅牢で信頼できるシステムを構築するために、COBOLは今もなお広く利用されています。
1.4 COBOLの評価と現在の地位
COBOLは、時代の流れとともに新しいプログラミング言語が登場したものの、その信頼性と長期間にわたる実績から、特定の分野では今でもその位置を保持しています。
特に、金融分野や公共分野では、COBOLが実行するシステムが極めて重要な役割を果たしているため、COBOLの存在を維持し続けています。それに加え、言語としての特性と、既存のCOBOLシステムへの依存性が高まっているため、新しいプログラミング言語に移行するコストとリスクに見合わないとされています。
しかしながら、新たにCOBOLを学ぶ開発者が少なくなり、COBOLのスキルを持つ開発者が高齢化している現状が問題となっています。それでもなお、COBOLの重要性は揺るぎないものがあり、特定分野におけるその地位は堅固なままです。
2. COBOLのプログラミング構造
COBOL(Common Business-Oriented Language)は、ビジネスデータ処理を目的として設計されたプログラミング言語です。その特長は、その英語に近いプログラミング構造にあります。
ここでは、COBOLの基本的なプログラミング構造について考え、その要点を理解しましょう。主にデータ型と変数宣言、制御構造とループ、関数と手続き、エラーハンドリングの4つの観点から概説します。
それでは、まずはデータ型と変数宣言から見ていきましょう。
2.1 データ型と変数宣言
COBOLには、数値、文字列、日付など、多様なデータ型が存在します。これらのデータ型は、情報を適切に保存、操作するために使用されます。
変数宣言では、データ項目の名前とデータ型を指定します。COBOLでは、値を格納するための変数を、”PICTURE” 文字列で定義します。この “PICTURE” 文字列は、データの型と大きさを指定します。
例えば、数値の変数を宣言するには、「PICTURE 9999」というコードを使用します。これは、四桁の数値、つまり最大値が9999の数字を扱うための変数を表します。
2.2 制御構造とループ
COBOLの制御構造は、IF-THEN-ELSE、EVALUATE(switch/caseに相当)など、他の多くのプログラミング言語と似ています。
一方、ループ処理は “PERFORM” ステートメントを使って行われます。”PERFORM” ステートメントは強力で、単純な繰り返しから複雑なネストされたループまでをサポートしています。
さらに、”PERFORM” ステートメントには、繰り返し条件を満たさなくなったときにループから出てくる “UNTIL” オプションも含まれています。
2.3 関数と手続き
COBOLでは、関数と手続きを作成して再利用性を高めることが可能です。これらは、特定のタスクを実行する一連のステートメントを含むセクションに格納されます。
関数は、返り値を生成する一連のステートメントになります。手続きは、一連の操作を実行するが値を返さないセクションです。
関数と手続きの呼び出しは、”CALL” ステートメントを使用して行われます。この “CALL” ステートメントは、制御を所定のセクションに転送し、その実行が終了すると制御を戻します。
2.4 エラーハンドリング
COBOLには、エラーハンドリングをサポートする機能があります。これにより開発者は、問題のあるコードを特定しやすくなります。
例外処理では、プログラムで予期しない状況が発生したときに、特定の操作を実行するプログラムの部分を定義できます。
エラーハンドリングは、主に”ON ERROR” で構造化された制御構造で実装されます。これにより、開発者はつまづきを途中で解決し、出力や結果を正しい形で得ることができます。
3. COBOLで何ができるのか
COBOLとは、商用データ処理業界で広く使われているプログラミング言語の一つです。この章では、COBOL言語を使用することで何を達成できるのかを詳細に解説します。
3.1 既存のCOBOLプログラムの保守
COBOLは、その長寿命と安定した機能性ニーズのために、多くの企業における既存のシステムで使われ続けています。したがって、1つの主要な使用例は、これらのシステムの保守と更新作業です。
開発者は、既存のCOBOLプログラムを解析し、その動作を理解して改善を行います。また、時々、新しいフィーチャーを既存のシステムに組み込む場面もあります。
このように、COBOLを習得することで、企業の既存コードの保守という重要な業務を引き受けることが可能になります。
3.2 データ処理とレポート作成
COBOLは強大なデータ処理の能力を持っています。特に、複数の外部ファイルやデータベースから情報を取得し、それを整形して詳細なレポートを作成することが可能です。
ファイルハンドリングやデータの操作が容易であり、特定のフォーマットに基づいてレポートを自動的に生成する機能は、多くのビジネスで有用に利用できます。
したがって、COBOLは、さまざまな業界で直感的で読みやすいレポート作成を手助けします。
3.3 業務アプリケーション開発
加えて、COBOLは強固な処理能力と業界標準の互換性を持つため、多くの業務アプリケーションの開発に使用されています。
金融業界や公共セクターでは、組織内外のオペレーションに軸足を置いたアプリケーションが必要となることが多く、こうした用途ではCOBOLが便利です-
したがって、業務アプリケーションの開発もCOBOLの得意とする範囲です。
3.4 レガシーシステムとのインテグレーション
さらに、COBOLはレガシーシステムとのインテグレーションにも適しています。多くの旧式のシステムはCOBOLで書かれているため、新旧のシステムとの間でデータの移行や共有をする際に、COBOLは有用です。
そういったシステム間のデータ交換をスムーズに行うことが求められる多くの業界において、COBOLは重宝されています。
以上のように、COBOLはその持ち味を活かすことで、多種多様な作業を効率的に実行することが可能です。
4. なぜCOBOLを学ぶべきなのか
現代社会における多くの技術者は、PythonやJavaなどのより新しいプログラミング言語に焦点を当てることが多いです。しかし、COBOLを学ぶことは多くの利点を持っています。これから、その理由を具体的に探っていきましょう。
このセクションでは、COBOLの高い移植性、長期にわたる持続性、大規模なデータを扱える能力、そして需給バランスを独特な視点から考察します。それぞれの要素が、なぜCOBOLを学ぶべきなのかについて深く理解するための鍵となります。
4.1 高い移植性
COBOLの大きな特徴の一つはその高い移植性です。つまり、COBOLで書かれたソフトウェアは、異なる種類のハードウェアやオペレーティングシステムでも問題なく動作します。これは、既存のシステムを更新または置換する際のコストを削減するだけでなく、新しいシステムへの互換性も保証します。
この移植性があるために、COBOLは金融業界をはじめとする様々な産業で長年にわたり活用されてきました。既存のシステムが対応する様々な環境で、COBOLのアプリケーションはその強固な性能を発揮します。
4.2 長期にわたる持続性
COBOLは、その誕生から半世紀以上が経過してもなお、多くの基幹システムで取り扱われる言語です。これは、その信頼性と耐久性が認められている証拠であり、そのまま長期にわたる持続性にも繋がっています。
また、COBOLの基本的な構造は時代と共にあまり変化していないため、古いコードと新しいコードが混在していても問題なく動作します。これは、既存のシステムを維持する上で非常に効果的であり、技術的な長寿命を実現する要素ともなっています。
4.3 大規模なデータを扱う能力
COBOLは、大規模なデータを効率的に取り扱う能力があります。これは、大量のトランザクションを扱くことが要求される金融業界や公共部門で、COBOLが引き続き必要とされる理由の一つです。
構造化プログラミングパラダイムを採用しているため、COBOLでは大規模なデータを分解・組織化することが得意です。そのため、複雑な計算を伴う大量の情報を効率的に処理することができるのです。
4.4 需要と供給のギャップ
現在のIT業界では、PythonやJavaなどの現代的な言語のスキルを持つプログラマが増えてきていますが、その一方でCOBOLのスキルを持つプログラマの数は減少傾向にあります。このことにより、高い給与を得られる可能性があるという需要と供給のギャップが生まれています。
COBOLのスペシャリストとして活躍すれば、高い給与だけではなく、仕事の安定性や市場価値も得られます。これにより、COBOLを学ぶことは、それ自体が非常に価値のある投資といえるでしょう。
5. 自分自身でCOBOLを学び、利用する方法
COBOLという言語について学びたいと思ったとき、それはあなたが正しいフットステップにいることを意味します。COBOLは依然としてビジネスアプリケーションの開発に広く使用され、そのため多くの採用機会があります。では、どうやって学び始めるのでしょうか? 自分でCOBOLを学び、効果的に使用するための方法を以下に示します。
5.1 COBOL学習の初歩
まず、基本的なプログラミング概念に精通することが重要です。変数、ループ、条件文、配列などの基本的な概念を理解していることが前提となります。これらは、COBOLでも他のプログラミング言語でも共通しています。
次に、COBOLの基本について学びます。これには、シンタックス、データ構造、そしてCOBOLの機能の一部を学ぶことが含まれます。これらは、オンラインチュートリアル、書籍、あるいは公式なトレーニングコースを通じて学ぶことができます。
学び始めるのに最適なリソースを選ぶことは、個々の学習スタイルによるでしょう。一部の学習者は書籍から新しい情報を得ることを好むかもしれませんし、他の学習者はビデオチュートリアルを通じて学んだり、個別のトレーニングコースに参加することを好むかもしれません。
5.2 実際のCOBOLコードを書いてみる
一度基本的な理論的知識を得たら、次に手元のエディターにてCOBOLコードを自身で書く経験を積んでみることを強く推奨します。この実践的なアプローチにより、理論が実際にどのように適用され、実際の問題がどのように解決されるのかを理解することができます。
また、自分でコードを書くことで、自分が何を行っているのか、そしてそれがどのように機能するのかをコントロールする能力を得ることができます。エラーや問題が発生した場合、その問題を理解し、修正するために必要なスキルを磨く良い機会にもなります。
最後に、もし可能であれば、あなたが書いたコードを他の人々と共有し、フィードバックを得てみてください。これはあなたの能力を向上させ、より効果的にCOBOLを使用するための最良の手段の一つです。
5.3 個人プロジェクトでCOBOLを使用する
実際のプロジェクトでCOBOLを使用することは、あなたのスキルを磨き、理論知識を実用的なレベルに引き上げる絶好の機会です。なぜなら、プロジェクトでは、理論的な演習では網羅できない様々な問題やチャレンジに直面するからです。
また、個人的なプロジェクトを通じてCOBOLを使用することは、新しいコーディングスキルを実際的な状況で使用して、スキルの習得を加速させることができます。
さらに、あなたが作成したプロジェクトをポートフォリオとして使用することは、将来的な雇用者に対するあなたのCOBOLスキルを示す強力な証拠となります。
5.4 COBOL開発者として働くために必要なスキルセット
COBOL開発者として働くためには、首尾よくプロジェクトを完遂し、要件を満たす能力を持つことが必要です。これには、コーディングと問題解決のスキルだけでなく、チームワーク、コミュニケーション、そしてプロジェクト管理といったソフトスキルも必要となります。
さらに、特定のビジネスや業界の知識があると、その業界の特定の要件を理解し、そのニーズに合ったソリューションを提供するのに役立ちます。
これらのスキルを磨くためには、オンラインリソースや書籍を使用するだけでなく、実際のプロジェクトや業界の経験を積むことも重要です。
6. COBOLの未来予想と人々への影響
COBOLが今後も存続するかは、科学者や業界専門家の間で話題になっています。なぜなら、この言語はすでに古いと見なされ、より新しい言語に取って代わられているからです。しかし、それでもなおCOBOLは一部の業界で使われ続けています。それでは、このテーマについて詳しく見ていきましょう。
6.1 COBOLプログラミングの需要
多くの大手企業や政府機関は、COBOLを必要としています。これら機関のシステムは数十年にわたり、更新や置換の対象から免れてきました。そのため、COBOLをマスターしているプログラマーは、いまだに高い需要を保っています。
また、2020年には世界的なパンデミックで経済が打撃を受け、その結果、COBOLプログラマーの需要が一気に高まりました。政府は突然の経済的負担に対処するために、古いシステムを動かし続けることを迫られたのです。
これらの理由から、今でもCOBOLプログラマーへの需要は高いと言えます。
6.2 COBOLと他のプログラミング言語との関係
COBOLはその堅牢さと確かさを理由に、多くの重要な業務で使われています。それゆえ、今後も他の言語と共存する可能性が高いです。現在、重要なシステムは複数の言語で構築されていることが一般的で、それぞれが特定の役割を果たしています。
したがって、COBOLは他の言語に取って代わられることはなく、「淘汰される」という事態も考えにくいです。
新しい言語は、新たな用途や開発モデルをサポートするために作られていますが、それらは必ずしも既存のシステムやアプリケーションに適しているわけではありません。
6.3 新世代のプログラマに対するCOBOLの相対的な吸引力
新しいプログラマたちは一般的に、より新しいプログラミング言語に魅力を感じます。しかし、それらの言語で競争するよりも、COBOLのような「ニッチなスキル」を持つ方が、就職市場で有利な場合もあります。
COBOLのほとんど独占的なニーズにより、COBOLプログラマはしばしば高い給与を得られます。これは新しいプログラマにとって、COBOLを学ぶ大きなインセンティブとなります。
さらに、COBOLはその直感的な構文とビジネス指向の特性を持つため、プログラマがこれを学ぶのは比較的容易であり、必要なスキルを短期間で取得できます。
6.4 COBOLの未来展望
COBOLの未来は不確かですが、現時点では多くの業界で依然として必要な技術であり続けています。現代のプログラミング言語が提供する機能や利点を持つ他の言語にCOBOLが置き換えられる可能性もありますが、それでもすべてのCOBOLアプリケーションが短期間で置き換えられることは考えにくいです。
そのため、COBOLは今後も存在感を持ったまま続き、特定のニーズを満たすために使用されるでしょう。
その一方で、新しい世代のプログラマにCOBOLの魅力を伝えることは、これからの課題とも言えるでしょう。